廻り天井のオフィス
廻り天井のオフィス
設計・施工:シグマ建設
写真:小野晃次郎
(2023.6~2023.11)
所在地/埼玉県熊谷市
主要用途/事務所・倉庫
構造・規模/木造平屋建て
改修部面積/41.5㎡(平面・断面改修部分)
50年程前から建つ、民家の客間棟と農業倉庫が一体になった平屋の木造建築。
断熱補強や土間の増設・屋根の張替等建物を補修・改修する事で、
客間部分をお孫さん世代が活用するオフィスとする計画であった。
要望を伺っていくうちに、現状の半々で用途が分かれたプランでは
オフィスにとっては面積が狭く、既存の界壁を変更し、
農業倉庫とオフィス部分の関係性を見直す必要性が有る事が分かった。
既存の建物の特徴として、客間部分はフラットな天井が張られている一方、
農業用倉庫はトラス構造が特徴的な木架構が露になった空間であった。
そこで、相互の間仕切り壁の位置を倉庫側に変更し、
平面的にオフィス面積を拡張するのと同時に、
断面的にも天井を剥がし、既存の天井裏で相互の空間を繋げる事により拡張する事とした。
既存廻り縁のレベルに合わせて新たなシナ合板の天井を設けつつ、
内庇状に「廻り天井」を残して架構を露にする事で、
既存の天井裏が新たな天井面になり、現代人にとっては少し窮屈なスケール感が
取り払われ、新たな広がりが感じられる空間となった。
また、既存の客間は全面に床が張られ外部から1段上がっていたが、
一部を地続きの土間仕上げとし、ミーティングスペースやエントランスを設けた。
それにより、より多様なスケール感がワンルームの中に生まれた。
元々3室に襖で分節されていた客間は、鴨居や長押等の痕跡を残しつつ、
ほぼ1ルームでフレキシビリティの高い空間として再設計している。
元の押し入れにキッチンを設置し、既存の痕跡を手掛りに収納の増設や水回りの拡張を行う事で新たにオフィスとして利用出来る環境を整えた。