2011年に設計した老舗和菓子店と道を挟んで向かい合う敷地に建つカフェの計画。
前面に設計した和菓子屋では、4つのボリューム(厨房・ギャラリー・カウンター・バックヤード)が囲むことで生まれる余白をお菓子の並ぶ売り場とする事で、町と連続するように売り場を設けた。その際に生まれた、道からの軸線を受ける形で今回のカフェも計画している。

ここでは、主に接客スペース・飲食スペース・バックヤードと3つの機能毎に、
天井高の異なる3つの屋根が寄り添うことで緩やかに分設された、空間を作り出している。また、既存和菓子店の不足していた駐車場を兼ねる形で、カフェ背面の駐車場からテラス・店舗・道・和菓子店迄を繋ぐ「通り」を通す事で誰でも立ち寄りやすい町からの連続性を生み出している。　

カフェの正面はシンボルツリーを中心に周囲には緑化を施し、町の人もふと腰を掛けられるベンチを設けている。
一方、背面のテラス側は落ち着いた雰囲気となるよう、腰高のベンチを設け、周囲の植栽を活かすことで駐車場側とは縁が切れるように配慮している。

ひとつのカフェを設計するのでは無く、和菓子屋や町との連続として捉える事で
周囲の環境も含めて変わり、一体的な賑わいを生み出していく事を願っている。